科研プロジェクト:米領フィリピンにおける日本人商業活動と大阪貿易会社関連資料のデータベース化

大阪貿易会社は20世紀前半にフィリピンと日本(関西圏)に特化して営まれていた貿易商社で、米国統治下のフィリピンで複数の大型雑貨店を運営し、現地での産業界で重要な役割を果たしていた。本研究は、①その創業家の松井家の関連資料(映像、写真、文書等をデジタル化したもの)を、映像を中心に据えて学際的に分析する。特に映像は、1920年代、30年代に主にフィリピンで撮られた、51本の無声の16mmフィルムから構成されている。②その分析結果を、多様なフォーマット(映像・写真・GPS・文献・関連サイト等)とリンクできる独自のデータベースシステムに反映させる。非常に高齢のインフォーマントや研究者の語りを記録する様々なセッション(FGD)を重ねてデータベースを作成し、公開し、日比の現地社会への知の還元を諮る。

 

情報交換会
4K映像に見る 1930年代フィリピンの日本製品
—大阪貿易「広告の実験」2—
 
日時:2025年7月4日(金)14:30〜17:30
場所:大阪商工会議所 403室(大阪市中央区本町橋2番8号)会場へのアクセスはこちら 
今回検討する4K化映像では、当時の製品・日用品や文字や図柄や人の顔がより鮮明になっています。昨年に続く第2回で、当時フィリピンに輸出された日本の製品(ca.1930年代)に関するフィルムを上映し、企業関係者や研究者と共に、映像を通じて当時の宣伝や流通実態を考えます。1時間ほどの三つの講演の後に、上映作品についてのディスカッションをおこないます。

登壇者
米野みちよ(静岡県立大学)「1930年代フィリピンにおける大阪貿易と大阪バザー:映像と写真で紐解く歴史」
小島浩之(東京大学)「歴史資料・企業資料としての映像:1930年代のフィリピン映像資料の歴史的価値と意義」
藤岡洋(東京大学)「映像アーカイヴィングの可能性:松井家資料データベースの挑戦」

登場する製品や看板
日本酒(白鶴)・ウイスキー(サントリー)、カルミン・ウェハース(明治製菓)、缶ミルク(明治乳業)、仁丹(森下仁丹)、醤油(キッコーマン)、北海道バター(雪印メグミルク)、リボン印シトロン(サッポロビール)、ビール(アサヒビール)ほか
 
席が限られておりますので、お早目にご応募ください。
(締切6月6日金曜日)
2024年3月8日 1930年代フィリピン映像資料に見る日本製品
映像は、1920‒30年代のフィリピンにおける日系人コミュニティや、フィリピン各地の風景や人々、当時の日比間の物流や人の移動などを映し出す貴重な資料となっている。この研究会では多様な企業から社史またはアーカイブス関係の方をお呼びしました。また、映像保存の専門家と日本企業史の研究者からコメントをいただきました。当時フィリピンへ輸出されていた日本の製品を紹介する映像(ca.1933)を上映しました。
2025年2月2日(日)映像(1K)の公開を始めました。Films released on YouTube.
大阪貿易資料(松井家資料)の目玉のひとつは、51本の貴重な映像です。2025年1月より、映像を順次それを公開しております。(毎週日曜日 10時 新映像公開)

現在は、とりあえずのキャプションを英語でつけていますが、来年度以降、日本語でもつけていく予定です。研究を進めながら、より詳しい解説を書いていくことができると思います。プロジェクトでは、4K化も進めています。1Kでははっきりとしていなかった看板の文字、ラベルの文字、顔の表情などが、くっきりと見え、さらに、場所、とき、人物、製品の特定が進むことと考えられます。関連の情報がありましたら、お寄せください。

2024年7月19日 Round Table Discussion with Short Film Screenings "An Experiment of Fluid Digital Database Making: Historical Films of the Philippine Osaka Bazaar in the Philippine and Trade in Southeast Asia (1920s–1930a)"
このパネルでは、現在おこなっているデータベースの構築の概要と、他の情報、例えばグーグルマップ上の地理情報、松井家の写真、音声データ、他の写真や映像との照合などの可能性があることを示した。フィリピンの多様な風景を考察の中心に置き、4本の映像を上映し、参加者との活発な意見交換を行った。
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科学研究費 基盤研究(B) 24K03167

研究代表者:米野 みちよ 静岡県立大学, 国際関係学部, 教授
研究分担者:藤岡 洋 京都大学, アジア・アフリカ地域研究研究科, 特定研究員
研究分担者:岡田 泰平 東京大学, 大学院総合文化研究科, 教授

Email Address: matsuiproject26@gmail.com; matsui.family.collection@gmail.com

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